福岡高等裁判所 昭和25年(う)92号 判決 1950年7月04日
被告人
宮川唱
主文
原判決を破棄する。
被告人を懲役一年に処する。
但し、この裁判確定の日から三年間右刑の執行を猶予する。
理由
弁護人打出信行の控訴趣意第一点(通称による被告人の指定)について。
被告人を指定するについては、その戸籍に記載された氏名を以てするのが最も望ましいことであることは言を俟たないところであるが、戸籍上の氏名が知れない場合において通称による氏名、又は被告人を特定するに足りる事項を以てすることは己むを得ないところであり、本件被告人は逮捕されて以来原審公判の取調が終るまで、その戸籍上の氏名が宮川唱であることをかくし、終始一貫して通称宮川一夫という氏名を名乘つていたものであつて、このような事情のもとに原判決が被告人を指定するのにその通称宮川一夫を以てしたからといつて、これを違法であるということはできない。
(註 本件は量刑不当により破棄自判)